魔法の王国ザンス7 王女とドラゴン

レビュー/小説

スポンサーリンク

この記事は8か月前の投稿です

 

今回は、小説「魔法の王国ザンス」7巻のレビューです。え?何で7巻なの?1巻からレビューしてたっけ?と思った人も多いのでは…

魔法の王国ザンス 第七巻Dragon_on_a_Pedestal 

魔法の王国xanth 第七巻「Dragon_on_a_Pedestal」原作の挿絵

魔法の王国ザンスを知らない人に説明すると、今でいう「異世界ファンタジーもの」の先駆け的な小説です。第一巻が発行されたのは1981年。日本ではあまり知られていないので、隠れた名作といってもいいでしょう。

魔法の王国ザンスは、ピアズ・アンソニイ (Piers Anthony) 著のファンタジー小説シリーズ。ハヤカワ文庫が翻訳して発売しており、2016年にアメリカにて40巻目が発表されています(未訳)
そして今、私は7巻目を読んでいるところです。
小説のレビューは、読後すぐであれば気持ちを乗せて文章を書けるかも…そう思って7巻からレビューをすることにしました。

魔法の王国の名前の由来は、魔王と呼ばれるX(A/N)thからです。物語はフロリダ半島に似た世界でおこります。毎回、ザンスの誰かにスポットがあたり、そのキャラクターが中心となってストーリーが進みます。
物語の根底には成長や愛が深く組み込まれていて、ファンタジー作品として面白いというだけではなく、考えさせられる内容なのです。

ザンス7巻では、王女アイビィ(3才)と、恐ろしい谷ドラゴンにスポットが当たりました。ザンスは強力な魔力を持つ者が、王となり治めるのが掟。子供のアイビィも強力な魔力があったのです。
アイビィーの魔力は増幅。
自分が望んだ相手の能力を大幅に伸ばすことができます。
ザンスにすむ谷ドラゴンは、6本足で蒸気のブレスを吐く凶暴な生き物。
この凶暴なドラゴンがとある事件で若返り、ベィビードラゴンになります。そのベィビードラゴンと迷子になったアイビィが出会うというストーリーです。

ベィビードラゴンに「スタンリー」という名前を付ける王女。本来は凶暴なドラゴンをアイビィが「お友達」だと信じたため、ドラゴンの中にわずかにあった温かい感情が成長して、本当に友達になるのです。
しかし、お話はそれだけでは終わりません。ドラゴンが若返りアイビィと出会った事は、ザンス滅亡を防ぐ可能性に繋がっていきます。

 

イラスト アイビィとスタンリー

魔法の王国ザンス ファンアート アイビィとスタンリー

幼いので自分の魔力を自覚していないアイビィと、第1巻から第6巻までは恐ろしい敵役として登場していた谷ドラゴンが、赤ちゃんドラゴンになるストーリー。この二人の組み合わせが面白く、様々な危機を乗り越える最後にはいとおしく感じるようになりました。

印象に残っているシーンを一つご紹介します。

アイビィたちが、ドレーク(空を飛ぶワイバーン)に襲われた時の一節です。

スタンリーが蒸気を吐きながら前に進みでた。ドレークの四分の一もないし、彼の翼は飛ぶには不向きだし、火を吹くこともできない。
どう見てもドレークの敵ではないが、それでもスタンリーは、友達を守るために闘う覚悟だった。
「ああ、スタンリー!」アイビィは小さな手を打ちあわせた。「あなたのことを忘れるところだった!もちろん、あなたなら怪物を退治できるわ!」
ばかげた応援だったが、スタンリーはやってみるつもりだし、その覚悟はアイビィの信頼と結びついて、もっと確かなものとなった。

ベィビー蒸気吹きが、女魔法使いの強く不思議な力に支持されているというのは、かなりの希望となった。
とはいえそれは、スタンリーがその支持を認識していれば、希望がもてただろうということにすぎない。実際はスタンリーはきわめて無鉄砲な勇気に駆られて行動しているのだ。
スタンリーは子どもたちとドレークのあいだに立っている。グリーンの体はかすかに震え、耳はぴったりとうしろに寝ている。

「あなたはとても勇敢だわ!」アイビィは力をこめて言った。スタンリーの震えがとまり、耳がぴんと立ち、前より自信のある構えになった。
スタンリーの勇気に対するアイビィの信頼が、本来の勇気を増幅させたのだ。
「あなたのうろこはとっても堅くて、強いのよ!」アイビィが言った。スタンリーのうろこは完璧な硬度となって光り輝き、前よりも厚くなったように見える。
「あなたの蒸気はすっごく熱いの」アイビィはつづけた。スタンリーの蒸気は冷たい空気を、音を立てて切り裂いた。
「あなたの歯はとっても強くてするどいわ」スタンリーはにやりと笑い、驚くほどじょうぶでするどい歯をむきだしにした。
「それに、あなたはものすごく速いの」アイビィは最後にそう言った。
スタンリーはいきなりものすごい速さでドレークめがけて突進した。

(ハヤカワ文庫FT 魔法の王国ザンス7「王女とドラゴン」から引用)

 

日本語版の挿絵は村山潤一先生が描かれています。

魔法の王国ザンス第七巻 王女とドラゴン

王女とドラゴン―魔法の国ザンス〈7〉 (ハヤカワ文庫FT)