エルフ

この記事は6年前の投稿です

エルフは、ファンタジー作品に頻繁に登場する種族で、知的で見た目も美しく、寿命が長いのが特徴です。あまりに沢山のファンタジー作品で見かけるので、物語を作る側では、漠然としたイメージで作品に登場させることもあるかと思います。しかし、漠然としたイメージから生まれたキャラは曖昧で、気持ちが入っていきません。

皆内ひなた2018年イラスト「エルフ」

「らしさ」という言葉がありますが、「らしさ」が集まると説得力が増して、読者の感情移入をしやすくしてくれます。今回は、エルフ「らしさ」とは何か、自分の作品のために考えてみた「備忘録」です。

エルフの種類

種類属性特徴・性格
エルフ光・中立比較的おだやか・知的
ダークエルフ闇・混沌個々の価値観に沿って行動・悪とは限らない
ハーフエルフ育ち方による人間とエルフのハーフ・両種族から迫害される

前提として、エルフには種類があります。基本は3種類で、これ以外にもハイ・エルフや、森エルフなど細かく分類すればもっとあります。今回は基礎になるエルフについて考えていきます。

耳が長ければエルフ?

エルフの発祥は、北ヨーロッパの伝承。北欧神話でエルフは、自然と豊かさを司る小神族でした。小説の「指輪物語」(著J・R・R・トールキン)がヒットし、トールキンの考えたものがファンタジー作品エルフの基礎となります。アメリカでTRPGの「ダンジョン&ドラゴンズ」が生まれ、海を渡って日本にエルフがやってきました。そしてエルフは、長寿で知的な種族としてファンタジー作品に登場するようになります。

1980年代~ 日本産のエルフが生まれる

ディードリット セルリア
ロードス島戦記 / エルフを狩るものたち

コンピューターゲーム、アニメ、漫画などにエルフが登場し始めます。耳は長く尖って、切れ長の目で美しく、自然を連想させる緑の服を着て描かれる事もありました。
人間との差別化を図るためか、体力が低いという特徴が付加され始めたのもこの頃です。北欧神話のエルフは神様のような種族なので、人間より体力が劣るというは後付のイメージでしょう。

エルフという名前が一人歩きする時代

ノーライフノーゲーム 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術
ノーゲーム・ノーライフ / 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術

2000年以降は、ライトノベルの流行で、エルフの表現が変わってきました。新しい表現を狙ったのか、子供のような外見だったり、胸の大きいエルフが登場します。その言動も神秘的な種族というよりは普通の若者に近く、知的な面も強調されなくなってきました。目が切れ長ではないパターンも増えましたが、耳が長い特徴は残っています。人間より上位の種族、そんな曖昧なイメージが一般化したのかもしれません。

エルフの性格や内面を考える

寿命が長い、という点は2010年代のエルフにも受け継がれています。寿命が長いなら、性格は落ち着いたものになり、大きな声ではしゃいだりはしなそうです。
文明や技術が人間より優れているので、高い教育を受けていて、物腰は上品になると想像できます。時には自分たちより下等な種族をさげすむこともあるかもしれません。人間にとっての犬や猫が、エルフにとっての人間にあたる可能性もあります。
上品であれば慎み深くなるので、肌を大きく露出した服を着るのは違和感があります。エルフの原点は自然を司る存在だったので、争いが起こった時は攻撃魔法で武力行使するより、対話での解決を図りそうです。

作中で動かす事を考える

物語の中で、作者より知的なキャラを動かすのは大変そうです。エルフは寿命が長いので、100歳の老人の意識が、若い肉体に入っていると考えると上手くいくかもしれません。エルフの寿命がどれくらいかは作品によって異なると思いますが、仮に1000歳が平均寿命だとして、人間の街に出かけたり、仲良くなって一緒に冒険に出るのは一族の中でも比較的若いエルフだと考えられます。そうすると100歳老人設定は妥当なライン…かも?ただ、精神は宿っている肉体に強く影響されるので、若々しい肉体を持つエルフは、人間の老人と同じ考え方になるとは思えません。一週回って、普通の若い人間に近くなるパターンもありえます。

読者の常識や興味は移り変わる

作品を作るうえで、読み手のこと(マーケティング)を考えるのは絶対に必要です。読者は、流行や自分が知っている事に興味を持ちます。
エルフにどんな歴史があるか、という所はあまり興味はないと思って間違いないでしょう。読者は、自分が触れてきた作品を常識として心に留めます。
ターゲット層が10代~20代であれば、言動が軽めの童顔のエルフ。30代~40代であれば伝統的な切れ長の目エルフにすると興味を引けそうです。すべての年代を狙うなら、
「胸は大きいけれど慎みのある服装」とか「元気はあるけれど上品」なエルフがいいかもしれません。

エルフの装備はどうするか?

エルフ ローブ

ローブ
神殿や宮廷にいるならローブ系が良さそう。この服装のエルフはNPC(脇役)扱いになることが多そうなのであまり悩まず、ストーリーの流れに沿った(必要な)衣装で良さそうです。


個人的には、エルフの鎧は流線型のデザイン、ドワーフの鎧は直線型のデザインを押したいところ。
ソーシャルゲームのように細かい装飾をいっぱいつけると、装飾が細かい=技術LVが高い感 は出そうですが、イラストなら良くても漫画のキャラでそれをすると作画で死にそうですw
ワンポイントで細かい装飾を入れたり、小パーツと大パーツの比率を調整することで雰囲気が出そうかも?

エルフ鎧
画像引用:左 http://lumecluster.com  右 映画「ホビットの冒険」

冒険の為の服装
漫画や小説だと、誰かと旅(冒険)しているというシチュエーションが多そうですが、宮廷にいないときや、戦時下でないならある程度動きやすくて、戦闘に耐えられる装備にしたいところです。

皆内ひなた2018年イラスト「エルフ装備」

エルフの都 住む場所

エルフは、森の中で自然と調和した都を築いているイメージがあります。

フ ェイワイルドの城塞都市、ミスレンダイン
画像引用 D&Dミスレンダイン

画像は「ダンジョン&ドラゴンズ」のエルフの都ミスレンダイン。 エルフ語で“要塞の壁”を意味するこの街は、アンダーダークと呼ばれる地獄のような場所と繋がる穴をふさぐ為に作られました。ミスレンダインが出来てから数百年が経ち、街の地下がアンダーダークに繋がっている事を知っているエルフは居なくなってしまったのです。エルフの住民、約4万人は、都の真下に地獄の蓋があることを知らないまま暮らしています。

ラピュタの天空都市

天空の城ラピュタ イメージボード

ラピュタは、超科学力を誇った文明の遺跡。こういう場所にエルフが住んでいても不思議ではありません。ラピュタには破壊兵器もあるので、異端のエルフがいたという設定も面白くなりそうです。

エルフはファンタジー作品に頻繁に登場するキャラクター。頻繁に登場するからこそ、どのような見せ方をするか、どのように描くか作者の腕の見せ所かもしれません。